●ディメンション ダブリュー Dimension W
©岩原裕二/スクウェアエニックス・DW製作委員会
やはり期待通りの作品。これは評価したい。
人類と異世界が対峙する構図ではなく我々の現代科学水準から少し先を行く世界で
まさにそこで起きている問題をプロットにした作品の方がグッと身を乗り出せるっていうね。
タイトルは「W次元」。XYZの空間軸以外にWという次元軸が発見された世界。
百合崎博士が開発した次元間電磁誘導装置、通称コイルによってW次元から無尽蔵に
エネルギーが供給できるようになった。これで化石燃料に頼ってた人類の生活スタイルに
ブレイクスルーが起こり地球のエネルギー枯渇問題にケリがつくと同時にコイル頼みの
科学文明社会にすり替わっていくという破綻のないリアルな設定。
3年後には電気自動車以外の車が全面的に廃止される...そんな日常ならば
化石燃料なんていう旧世代エネルギーは時代遅れ。
ガソリンの価格が1リッター2800円もするっていうのに(満タンで17万円弱だ!)いまだ
TOYOTA 2000GTを愛し乗り回す自動車整備工場の主人公マブチ・キョーマ(CV:小野大輔)の
裏の仕事は政府非公認の不正コイルの回収屋。その彼がお仕事中に百合崎博士を父と呼ぶ
コイル駆動のロボットの少女ミラ(CV:上田麗奈)と出会うことから物語が動く。
彼女、間違いなく娘ですわ。娘を改造したのね。家族を政府に殺められた復讐以外に
隠されたある目的があったに違いないと睨んでいる。
その秘密はミラ自身のなかにあるような。ミラは博士にとってのアトムだ。
マブチ・キョーマのマブチはあのマブチモーターからきてるのは明らか。コイルだけに。
ミラはくじら座の中心の変光する恒星だ。彼女がストーリーの心臓であるのは間違いない。
でもその愛くるしさからダイハツ・ミラからきてるっていうのもありw
TOYOTA&ダイハツ(同資本)コンビ誕生。
85点
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●シュヴァルツェスマーケン schwarzesmarken
© 吉宗鋼紀・ixtl / テレビ東京 / オルタネイティヴ第二計画
異星起源種BATAの侵略を受けている東ドイツですと?!(ドイツのアニオタ大喜びでしょうね)
いやあ、懐かしさも手伝ってびっくりです。トータルイクリプスじゃないですか。
上で小野大輔氏の名前がでたところでこれだよw これってマブラヴのシリーズなんですか?
BATAの侵攻がまだ東ドイツあたりで浅い、マブラヴより以前の譚になるということか。
久しぶりにBATAをみたけど相変わらず不細工。こんなのに喰われるのは腹立たしい。
余談ですがトータルイクリプスではロシアンのクリスカ(CV: 生天目仁美)が大好きでした。
彼女を上回る魅力的な女性がいなけりゃ続けて見てあげないぞ!w と意気込んでいたら
いましたよ。第666戦術機中隊のベルンハルト大尉(CV:山本希望)。
この物語の篁唯依(CV:中原麻衣)的な存在。今後は彼女に注視していこう。
肉親を情報機関に売ったとか囁かれているし訳ありで楽しみだ。でもそのうち
ユウヤみたく反発する主人公テオドール(CV:鈴村健一)と仲良くなってくのよね?w
それと、東ドイツの戦術機の性能がいかほどのものなのか見てみようじゃありませんか。
スタッフさんにはトータルイクリプスみたく作画が後半ぶれないようにお願いしたい。
70点
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●灰と幻想のグリムガル Grimgar. le Monde des cendres et de fantaisie
©2016 十文字青・オーバーラップ/灰と幻想のグリムガル製作委員会
いいですね〜。"灰と幻想"とそそる漢字の字面に副題がフランス語なのが洒落てる。
ル・モンドは世界。直訳だと灰と幻想の世界。そんなお伽噺のような世界観を表現する為に
水彩のような美しい風景が一役も二役もかっている。まるでヨーロッパ絵画を見ているよう。
こういうこだわりが欲しい。
それはキャラ達のセリフまわしや言動の端々にも現れていると感じた。
現代の少年少女が目覚めたらゴブリン達が闊歩する別の世界だったというテンプレなのに
なんだか印象が他の作品と違う。ラノベで読んだファンタジー世界の異形のものと
実際に対峙したときの生温さを戒めるマナト(CV:島崎信長)の言葉がその思いを確信させる。
皆、これは命のやり取りなんだ!!俺達も相手も
ゴブリンだって真剣なんだ!どんな生き物だって死にたくないだろ!
ああ、これなんだ。この言葉で現実を生きることの本当の大変さを戒める。
現場でリアルに生きる事ってこういうことなんだと。軽さや甘えは命取りになるここではと。
で、食うためにお金を稼ぐということは実は命をはることに等しいとね。
これがこの作品の差別化のポイントなんだ、だから印象が異なる。
この先ゴブリン以上の敵がおそらくは待ち構えるんでしょう。というか、
長く生き抜くためにはそれは逃れられない道。餓死したくなかったら己の技量を上げ
仲間達と協力しながら対価の高い敵を生活上どうしても粉砕していかなければならない
という当たり前の現実がこの物語を際立たせている。
しかし、シホル(CV:照井春佳) めっちゃ可愛い。
照井さん、彼女の"結城友奈"以来の当たり役になりそう。勇者じゃなく魔法使いだけど。
80点
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●僕だけがいない街 Boku dakega inai machi
©2016 三部けい/KADOKAWA/アニメ「僕街」製作委員会 ©Kei SANBE 2015/KADOKAWA
"僕だけ"が明朝体。"だけがいない街"がゴシック体というタイトルフォント。
主体はどっちだ。私か、街か。意味深である。
この作品を楽しみにしていたのは"僕だけ" いや私以外の人も皆そう思ってみればいいのだ。
事実そう思いながらずっと見ていた。これは自分史であるかのようにね。
というのも、こういう妄想をいつもぼんやりと頭の中で考えていたからなのかな。
もし主人公・藤沼悟(CV:満島真之介29歳、土屋太鳳10歳)のようにタイムスリップして
10代からリスタートするチャンスがあったら迷いなく悪魔に心を売るだろう。
それも大人の今の記憶/知識と経験値を保有したままで。
あの時こうすればよかった、やり直したい。それが可能な状況ってなんて素晴らしいことか。
HONDAのジャイロキャノピーに乗ってピザの宅配バイトで食いつなぐ売れない漫画家の彼は
彼自身がリバイバルと呼ぶ意思とは無関係の発動される迷惑な能力を有していた。
数分後に自身の周りで起こる事件や事故の直前の時間へミニタイムスリップするという力。
その事故の原因を取り除くまで繰り返される。
結果はいつもプラマイゼロ→悪い事が発生しなくなるだけ。
または自分にマイナスになる→未然に防ごうとした結果、自分が害を被ることもある。
それでもだ、やはりこの能力はぜひ欲しいと思う。
主人公・藤沼悟は自動車事故を防ごうとして怪我をし入院する。見舞いがてら家事を手伝いに
来ていた母親・藤沼佐知子(CV:高山"コナン"みなみ)が過去に起きた誘拐殺人犯の真犯人に
気付かれ殺害された事がスイッチとなり悟は19年の時を遡り10歳の小学生に舞い戻る。
「俺にもこういう時間があったんだ」
19年前の懐かしい自宅で生きた母親に再開した彼が母の手料理に「おいしい」と感謝を
を素直に語るシーンには不覚にも涙した。自分も亡き母親にそう伝えたいと思えたから。
いづれにせよ、彼は母の死と誘拐殺人に巻き込まれたクラスメイト雛月加代(CV:悠木碧)の
時空改変を得るチャンスを得ることとなった訳だ。彼は決意する。真犯人をあばく事を。
一方でこれは知恵と勇気を振り絞って力強く彼自身を変革する旅でもあるというところが
秀逸だ。暗いトーンが作品全体に漂うなかで少し明るい希望が感じられるのは
その要素のせいかも知れない。それにしても高山みなみさんのお母さん、いい味です。
88点
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●霊剣山 星屑たちの宴 Reikenzan
©霊剣山製作委員会
中国大陸がその舞台。
彗星がもたらした天からの申し子を探し出す為に、仙人の一族霊剣派は
門下の入門試験を催すことに。仙人になることを夢見て中国各地から集まる志願者達。
そのなかに運命の子、主人公・王陸(CV:代永翼)はいた。彼は生まれ持った機知と策略で
次々と難問を解いていく。まあ、例えれば一休さんが宗派の最高位を目指して宗祖が出した
難行苦行をクリアしていくと考えるとわかりやすい。つまりは仙人になるための修行試験。
それだけの話し。原作は中国でめっちゃ受けてるWEB小説らしいが、そんなの関係ない。
アニメ作品として日本人の目からみるとなんだか馴染めないしつまらなし。「でっ?」と。
絵も凡庸だしストーリーもチートの主人公がサクサク問題解決していくだけでさ。
(でも中国人にはきっとそこがカタルシスになっているのだろうと想像はできるけど)
ちゃらいギャグ押しだけでは深みがないよね。情感が伝わらないアニメ。
スタジオDEENには悪いがこれをわざわざ日中合作で作る必要があったのだろうか?
これは最低録画画質でOK。記録だけに留めよう。
35点
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●蒼の彼方のフォーリズム Four Rhythm Across the Blue
© 2013, 2014 Sprite
四島って長崎の五島列島がモデルか?
青い海、船、カモメ、海岸、堤防 そこに少女。オープニングの第一印象は"AIR"みたい。
普通の何処にでもあるライフスタイルの中にひとつだけトビっきりのアイテムを加えるだけで
こんなに楽しく魅せられるのかと思った次第。
それが反重力を応用したシューズ「グラシュ anti graviton shoes」
こんなん欲しいわぁ。確かにヒロイン倉科明日香(CV:福圓"金色の闇"美里)みたいに
最初は空中でバランスをとるのは相当難しいのかも知れないけど。履いて飛んでみたいよ。
まだ全国では試験導入の段階らしいがここ四島市では解禁されてるようで、例えば
グラシュを使って通学したりする際はバス停みたいに発着点が規定されてるのがなかなか芸細。
物語はこのグラシュを使ったスカイスポーツ、FC(フライングサーカス)という
空中の鬼ごっこみたいな競技を軸にそれに打ち込むメインの4人のキャラが織りなす
爽やかに萌えたスポーティ路線。なかなかGoodです。1話で初心者のくせして
負けず嫌いな明日香とFC勝負したタカビーなFC名門校のお嬢 佐藤院麗子に種田梨紗。
こういう役、はまりつつありますね。
71点
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●プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ Prince of stride alternative
©2015 FiFS/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/POSA製作委員会
そしてこちらはもっと人間本来が持つプリミティブな素の能力だけで勝負する物語。
ON AIRは早かったのになかなか視聴するのを躊躇っていた作品。
なぜかって「ストライドか....多分ただ走るだけでしょ」とタカをくくっていたからw
筆者は中学時代、陸上部で短距離ばかりやっていたので脚には自信がある。けど、
走ることは全てのスポーツの基本中の基本といっってもやっぱ単純なわけ。
放課後毎日毎日校庭のトラックを走ってストップWatchと睨めっこしてると
なんでこんなしんどいこと黙々とやってんだろう?と行為に飽きることが何度かあった訳。
自分の中学時代にもしこのパルクール駅伝みたいなスポーツがあったのなら
そっちを選んでいたよ。陸上部のオルタネイティ部(←わざとですw)
市街地を3ディメンションフルに使って競争してみたい。これはそんなワクワクする
想いを叶えてくれる作品。 喰わず嫌いですみませんでした。
というか、花澤さんのクレジットを見るのがなんだか久しぶりな気がする。
68点
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